キッチンは、風水の説明でよく「火と水が同じ場所にある」と特別扱いされます。五行でいえば火と水は打ち消し合う関係にあるので、そこが問題にされます。
ただ、この説明はそのまま受け取ると使い道がありません。台所からコンロもシンクも無くせないからです。
由来をたどると、衛生と安全の話
火と水が隣り合うことの何が問題だったのか。当時の台所を想像すると見えてきます。
| 言われていること | 元にあったと考えられる事情 |
|---|---|
| 火と水がぶつかる | 水が跳ねて火が消える。かまどでは実際に起きた |
| 生ものと火が近い | 冷蔵庫がない時代、熱源のそばは食品が傷む |
| 南西(裏鬼門)の台所を避ける | 西日で室温が上がり、食品が傷みやすい |
| 換気を大事にする | 煙と湿気がこもると、カビと油汚れの原因になる |
いまの設備では、上の3つはほとんど起きません。 IHなら水で消えませんし、冷蔵庫があります。断熱も違います。
一方、4つ目の換気はいまも有効です。油と湿気は変わらず出ますし、換気扇を回さない台所は確実に汚れます。ここは取り入れる価値があります。
実際に効く順番
01調理台の上に出ているものを減らす
物が多いと、拭く回数が減ります。拭かなくなった台所が汚れるのは、風水以前の話です。
02換気扇を回す習慣にする
調理中だけでなく、少し長めに回します。油と湿気を残さないだけで、掃除の間隔が伸びます。
03冷蔵庫の上を空ける
放熱を妨げます。これは家電としての理由がはっきりしているので、迷わず片づけて構いません。
04そこまでやってから、配置や色を考える
コンロとシンクの位置関係を気にするのは最後です。どのみち動かせません。
「困っているか」で切り分ける
方位や配置の話に振り回されないための、単純な基準があります。
- 実際に不便が起きているか(暑い、においが残る、汚れが取れない)
- その不便は、設備や手入れで対応できるものか
- 対応できないなら、それは間取りの問題として受け入れる
- 受け入れたうえで、手入れの頻度を上げる
1つ目で「とくに困っていない」なら、そこで終わりです。 困っていないことに対策を始めると、終わりがありません。
鬼門・裏鬼門の記事にも書きましたが、方位を根拠に何かを買わせようとする説明が来たら、いったん止まってください。変えられないことを問題として提示する形は、それ自体が判断の材料になります。
五行の色を使うなら
火と水の打ち消し合いを、あいだに「木」を入れて和らげる、という説明があります。木を表すものとして観葉植物や木製の道具を置く、という形です。
これを効果として期待する根拠はありません。 ただ、木製のまな板やカッティングボードを出しておくのは、調理の動線としては合理的です。使うものを置くなら問題ありません。 使わない飾りが増えると、1で書いた「拭く回数が減る」に逆戻りします。
観葉植物を置く場合も同じで、枯らすなら置かないほうがましです。窓のない台所では育たない種類が多いので、そこは確かめてから選んでください。
火を扱う場所なので
最後に、風水とは別の話をひとつ。
コンロ周りに布や紙を置くのは、単純に危険です。 「置くと良い」と説明されるものでも、火のそばに燃えるものを置く形になっていないかは確かめてください。